DevSecOpsとDevOpsの違いとは?
概念の比較と移行ポイントをわかりやすく解説

2026/04/20

DevOpsとDevSecOps、何が違うのか

「DevSecOpsを導入しよう」という話が社内で出たとき、「そもそもDevOpsとどう違うのか」と疑問を持つ方は少なくありません。どちらも開発と運用の効率化を目指す概念ですが、セキュリティへのアプローチに本質的な違いがあります。

この記事では、DevOpsとDevSecOpsの違いを整理した上で、DevSecOpsへ移行するためのポイントを解説します。

DevOpsとは

DevOpsとは、開発(Development)と運用(Operations)のサイロを取り除き、両者が連携して高速にソフトウェアを提供するアプローチです。CI/CDパイプラインによる自動化、インフラのコード化(IaC)、継続的なモニタリングなどを通じて、開発サイクルの短縮と品質向上を実現します。

DevOpsの普及により、リリース頻度は飛躍的に向上しました。一方で、スピードを優先するあまりセキュリティ対策がリリース直前や運用後に後回しになりやすいという課題が顕在化してきました。

DevSecOpsとは

DevSecOpsとは、DevOpsの開発・運用サイクルにセキュリティを最初から統合したアプローチです。「Shift Left(シフトレフト)」とも呼ばれ、セキュリティの検証タイミングを開発プロセスの早期に移動させることで、脆弱性を小さいうちに発見・修正することを目指します。

DevOpsとの最大の違いは、セキュリティを後から加えるものではなく、開発プロセスに最初から埋め込むものとして捉える点です。

DevOpsとDevSecOpsの違い:7つの比較軸

1. セキュリティの実施タイミング

DevOpsでは、セキュリティ対策は開発が完了した後、リリース前の検証フェーズや本番環境の運用フェーズで実施されることが一般的です。

DevSecOpsでは、要件定義・設計・実装・テスト・リリース・運用のすべてのフェーズでセキュリティを継続的に確認します。

2. セキュリティの担い手

DevOpsでは、セキュリティは専門のセキュリティチームが担当する別部門の業務と見なされがちです。開発チームはセキュリティを「レビューしてもらうもの」と捉えています。

DevSecOpsでは、開発者・運用担当者・セキュリティエンジニアが共同の責任を持ちます。セキュリティチームは「管理する側」ではなく「支援する側」として機能します。

3. 脆弱性の発見タイミングと修正コスト

一般に、脆弱性は発見が遅れるほど修正範囲が広がり、対応コストも大きくなる傾向があります。特に本番環境で問題が見つかると、改修だけでなく調査、影響確認、再リリース対応まで必要になり、負担が大きくなりやすくなります。

DevOpsでは脆弱性の発見がリリース前後になりやすく、手戻りのコストが大きくなります。DevSecOpsでは設計・実装段階での早期発見を目指すため、修正コストを大幅に抑えられます。

4. セキュリティツールの組み込み方

DevOpsでは、セキュリティツール(DASTなど)はリリース前のステージング環境で単発的に実行される、もしくは何も実行しないことが多いです。

DevSecOpsでは、SAST・SCA・シークレットスキャンなどのツールをCI/CDパイプラインに統合し、コードのプッシュのたびに自動的かつ継続的に検査が実行されます。

5. インシデント対応

DevOpsでは、セキュリティインシデントが発生した際の対応は運用チームとセキュリティチームで分断されることが多く、初動対応が遅れやすい構造です。

DevSecOpsでは、開発・運用・セキュリティが一体となった対応体制を平時から構築しており、インシデント発生時の初動が速くなります。

6. 文化・マインドセット

DevOpsとDevSecOpsの違いは技術的な面だけでなく、文化・マインドセットの違いでもあります。

DevSecOpsが根付いた組織では、開発者が「セキュリティは自分ごと」と認識しています。セキュリティチームは開発の障壁ではなく、開発者がセキュアなコードを書きやすくするための支援者として機能します。

一覧表:DevOpsとDevSecOpsの違い

比較軸 DevOps DevSecOps
セキュリティの実施タイミング リリース前・運用時 開発段階から継続的に
セキュリティの担い手 セキュリティチーム(別部門) 開発・運用・セキュリティが協働
脆弱性の発見タイミング リリース直前〜本番環境 設計・実装・テストの各フェーズ
修正コスト 大きい(手戻りが発生) 小さい(早期発見のため)
ツール実行タイミング 単発 CI/CDに統合・継続的に自動実行
文化 セキュリティは専門家の仕事 セキュリティは全員の責任

DevOpsからDevSecOpsへの移行ポイント

既存のDevOps環境をDevSecOps化する際に押さえておきたいポイントを紹介します。

ポイント1:まずCI/CDへのツール統合から始める

最も着手しやすいのが、既存のCI/CDパイプラインへのセキュリティツールの組み込みです。シークレットスキャンと依存ライブラリの脆弱性チェック(SCA)は導入の敷居が低く、効果が見えやすいため、最初のステップとして適しています。

ポイント2:アラートの運用フローを先に設計する

ツールを導入すると、導入初期を中心に多くの検出結果が発生します。「誰がトリアージするか」「どのレベルの脆弱性をいつまでに修正するか」を先に決めておかないと、アラートが積み上がるだけで形骸化します。ツールの選定より運用フローの設計を優先しましょう。

ポイント3:開発チームへの「押しつけ」を避ける

DevSecOpsへの移行で失敗しやすいのが、セキュリティ要件を開発チームに一方的に課すケースです。開発者の視点に立ち、セキュリティチェックを開発ワークフローに自然に組み込む工夫が求められます。「セキュリティのために開発が遅くなる」と感じさせないことが、文化的な定着の鍵です。

ポイント4:専門知識が不足している場合は外部を活用する

DevSecOpsの運用には、アラートのリスク判断や設計レビューなど、セキュリティ専門家の知識が必要な場面が多くあります。社内にノウハウが不足している場合は、外部のセキュリティエンジニアの力を借りながら体制を整えていくアプローチも有効です。

DevSecOpsの具体的な導入ステップ

DevOpsとDevSecOpsの違いを理解した上で「では実際にどう導入すればよいか」を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。現状把握からCI/CDへのツール統合、脆弱性対応の運用フロー確立まで、ステップごとに解説しています。

→ DevSecOpsとは?導入ステップと失敗しないためのポイント

まとめ

DevOpsとDevSecOpsの違いは、セキュリティを「後から加えるもの」と捉えるか、「最初から組み込むもの」と捉えるかという根本的な考え方の違いです。開発スピードが上がるほど、この差が品質とコストに与える影響は大きくなります。

DevOps環境をすでに持っている組織がDevSecOpsへ移行する場合、すべてを一度に変えようとせず、CI/CDへのツール統合と運用フローの整備から段階的に進めることが成功の近道です。

ステラセキュリティのDevSecOps支援

ステラセキュリティのセキュリティチーム代行サービスでは、「DevSecOps支援プラン」を提供しています。既存のDevOps環境に対するセキュリティツールの選定・導入支援から、アラートのトリアージ運用、設計フェーズからのセキュリティレビューまで、御社の開発体制に合わせた形でご支援します。また、LLMを活用したDevSecOpsの高度化にも対応しており、開発プロセスへのLLM組み込みについてもご支援が可能です。

「今のDevOps環境に何を加えればいいかわからない」という段階からでもご相談いただけます。