DevSecOpsとは?
導入ステップと失敗しないためのポイント

2026/04/20

DevSecOpsとは

DevSecOpsとは、開発(Development)・セキュリティ(Security)・運用(Operations)を統合したソフトウェア開発・運用のアプローチです。

従来の開発プロセスでは、セキュリティ対策はリリース直前や運用フェーズに後回しにされることが多く、脆弱性が発見された際の手戻りコストが大きな課題でした。DevSecOpsはこの課題を解決するために、開発サイクルの最初から最後までセキュリティを組み込むことを目指します。

「シフトレフト」という言葉で表されるように、セキュリティの検証タイミングを開発プロセスの早期(左側)に移動させることで、問題を小さいうちに発見・修正できる体制を構築します。

DevOpsとDevSecOpsの違い

DevOpsはセキュリティが後付けになりやすいという弱点があります。DevSecOpsはDevOpsの速度を維持しながら、セキュリティを開発サイクルに最初から組み込む点が本質的な違いです。両者の詳細な比較については、以下の記事をご覧ください。

→ DevSecOpsとDevOpsの違いとは?概念の比較と移行ポイントをわかりやすく解説

なぜ今DevSecOpsが必要なのか

開発スピードの加速とセキュリティリスクの増大

アジャイル開発やCI/CDの普及により、コードのリリース頻度は年々上がっています。リリースのたびに人手でセキュリティレビューを行う従来のアプローチでは、速度に追いつけなくなっています。

クラウド・コンテナ環境の複雑化

AWS・GCPなどのクラウドサービスやコンテナ技術の普及により、インフラ構成の複雑さが増しています。設定ミスや依存ライブラリの脆弱性が攻撃の入口になるケースも増えており、継続的な監視が不可欠です。

サプライチェーン攻撃の増加

OSS(オープンソースソフトウェア)への依存度が高まる中、依存ライブラリへの攻撃(サプライチェーン攻撃)が増加しています。Log4Shellのような事例が示すように、自社コードに問題がなくても、使用しているライブラリに重大な脆弱性が潜んでいる可能性があります。

DevSecOps導入の5ステップ

ステップ1:現状のセキュリティ課題を把握する

まず、自社の開発プロセスにおけるセキュリティの現状を把握します。「脆弱性診断の結果が開発チームに共有されていない」「依存ライブラリの更新が放置されている」など、既存の課題を洗い出すところから始めましょう。

ツールの導入を急ぐ前に、どのフェーズでどんなリスクが発生しているかを整理することが重要です。

ステップ2:設計フェーズにセキュリティレビューを組み込む

新機能の設計段階から、脅威モデリングやセキュリティレビューを実施する習慣をつけます。実装後に問題を発見するよりも、設計段階で発見したほうが修正コストを圧倒的に抑えられます。

具体的には、アーキテクチャ選定の段階でセキュリティエンジニアが参加する仕組みを作ることが理想的です。

ステップ3:CI/CDパイプラインにセキュリティツールを統合する

自動化がDevSecOpsの核心です。主に以下のツールをCI/CDに組み込みます。

SAST
コードをビルドせずにソースコードを解析し、脆弱なコードパターンを検出します。GitHub ActionsなどのCIパイプラインに組み込むことで、プルリクエストのタイミングで自動チェックが走る仕組みを構築できます。

既知脆弱性の管理
SCA(ソフトウェアコンポジション解析)と呼ばれる手法で、プロジェクトが使用しているOSSライブラリに既知の脆弱性が含まれていないかを継続的にチェックします。DependabotやTrivy、OWASP Dependency-Checkなどのツールが広く使われています。

シークレットスキャン
APIキーやパスワードなどの機密情報がコードに混入していないかを自動チェックします。GitHubのシークレットスキャン機能やtruffleHogなどが使われます。

ステップ4:本番環境の継続的監視体制を整える

開発・テストフェーズだけでなく、本番環境のセキュリティ状態を継続的に監視する仕組みも必要です。

クラウド環境では、Amazon InspectorやAWS Security Hubなどを活用し、脆弱なパッケージ、不要に広い権限、設定ミスといったリスクを継続的に把握する体制を整えます。検出したアラートは適切にトリアージし、開発チームへ連携する運用フローを整えます。

ステップ5:検出した脆弱性の運用フローを確立する

ツールを導入しても、検出した結果を適切に処理する運用フローがなければ意味がありません。特に、自動検出ツールは導入初期に多くの検出結果を出すため、誰が確認し、どの深刻度をいつまでに対応するかを決めておかないと、現場で処理しきれなくなるおそれがあります。

「CriticalかつPoCが出回っている脆弱性は即対応」「攻撃が困難な脆弱性は対応しない」など、リスクレベルに応じた対応基準を明文化し、開発チームが迷わず動けるようにしましょう。

失敗しないための4つのポイント

1. ツール導入を目的にしない

DevSecOps導入で最も多い失敗が、「とりあえずツールを入れた」で終わってしまうケースです。SASTやSCAを導入しても、アラートへの対応フローがなければアラートが積み上がるだけです。ツールはあくまで手段であり、「誰が・何を・いつまでに対応するか」を先に決めることが重要です。

2. 開発チームへの負荷を最小化する

セキュリティの要件を開発チームに押し付けてしまうと、摩擦が生まれ形骸化します。セキュリティチームの役割は、開発者がセキュアなコードを書きやすい環境を整えることです。自動化できる部分は自動化し、開発者が意識しなくても安全な状態を保てる仕組みを作りましょう。

3. 段階的に導入する

一度にすべてを導入しようとせず、最もリスクの高い部分から段階的に対応することを推奨します。たとえば、まずはシークレットスキャンと依存ライブラリの脆弱性チェックから始め、徐々にSASTやIaCスキャンへと範囲を広げていくアプローチが現実的です。

4. セキュリティの専門知識を確保する

DevSecOpsを効果的に運用するには、セキュリティの専門知識が必要です。アラートのトリアージには「これは本当にリスクか」を判断する経験が求められますし、設計レビューには攻撃者の視点が欠かせません。社内にセキュリティエンジニアがいない場合は、外部の専門家を活用することも有力な選択肢です。

まとめ

DevSecOpsは、開発速度を落とさずにセキュリティ品質を高めるための現代的なアプローチです。導入には段階的なステップと、適切なツール・運用フローの整備が必要ですが、大切なのはセキュリティを開発チームと協力して進める文化を作ることです。

「何から手をつければよいかわからない」「ツールは入れたが運用が回っていない」といった課題をお持ちの場合は、外部のセキュリティ専門家を活用したDevSecOps支援も検討してみてください。

ステラセキュリティのDevSecOps支援

ステラセキュリティのセキュリティチーム代行サービスでは、「DevSecOps支援プラン」を提供しています。Amazon Inspector・Dependabot・Trivyなどが検出するアラートのトリアージ支援、CI/CDへのSASTツール組み込み、設計フェーズからのセキュリティレビューなど、開発スピードを維持しながらセキュリティ体制を整えたいSaaS企業様に適した支援内容です。また、LLMを活用したDevSecOpsの高度化にも対応しており、開発プロセスへのLLM組み込みについてもご支援が可能です。

「何をすべきか整理したい」という段階からご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。