プロダクトセキュリティとは?
担当者の役割と進め方を解説

2026/04/21

プロダクトセキュリティとは

プロダクトセキュリティとは、自社が開発・提供するソフトウェアやサービスそのものの安全性を確保するための取り組みです。

「セキュリティ」という言葉は幅広い意味を持ちますが、プロダクトセキュリティが対象とするのは、社内のPCやネットワークを守るコーポレートITセキュリティではなく、外部に提供しているプロダクト——Webアプリケーション、スマホアプリ、APIなど——に潜むリスクの管理です。

SaaS企業やアプリ開発会社にとって、プロダクトの脆弱性はそのまま顧客への被害につながりうるため、近年その重要性が高まっています。

コーポレートITセキュリティとの違い

社内のPCやネットワークを守る「コーポレートITセキュリティ」と混同されることがありますが、プロダクトセキュリティが対象とするのは外部に提供しているプロダクトです。両者の役割の詳しい違いについては、以下の記事をご覧ください。

→ プロダクトセキュリティとコーポレートITセキュリティの違いとは?役割と対象範囲を解説

プロダクトセキュリティ担当者の役割

プロダクトセキュリティを担う人材は「セキュリティエンジニア」として開発組織に近い立場でセキュリティを推進します。主な役割は以下の通りです。

設計・実装フェーズへの関与

新機能の設計段階からセキュリティレビューに参加し、脆弱性の作り込みを防ぎます。「後から直す」のではなく「最初から安全に作る」ことを目指すアプローチで、Security by Designとも呼ばれます。

脆弱性の管理と優先順位付け

脆弱性診断や自動ツールが検出した結果を評価し、リスクの高いものから順に対処方針を決めます。開発チームだけでは判断が難しい「これは本当に危険か」という問いに、専門的な知見で答える役割を担います。

開発チームへのセキュリティ支援

開発者がセキュアなコードを書けるよう、社内向けのセキュリティガイドラインの整備や、開発者向けの勉強会・レビュー支援を行います。「セキュリティを管理する側」ではなく「開発者の味方」として機能することが求められます。

セキュリティテストの計画・実施

定期的な脆弱性診断やペネトレーションテストの計画を立て、外部ベンダーとの窓口を担います。テスト結果を開発組織にフィードバックし、改善サイクルを回す役割も担います。

インシデント対応への参画

セキュリティインシデントが発生した際に、技術的な原因調査や影響範囲の特定を担います。平時から開発チームと連携しているため、初動対応のスピードが速くなります。

プロダクトセキュリティが注目される背景

SaaS・クラウドサービスの普及

多くの企業がSaaSを通じて顧客データを扱うようになり、プロダクトの脆弱性が直接的な情報漏えいリスクにつながる環境になっています。サービスを提供する側の責任が以前より重くなっています。

開発スピードの加速

アジャイル開発やCI/CDの普及により、リリース頻度が上がる一方、セキュリティの確認が追いつかないケースが増えています。開発プロセスに組み込まれたプロダクトセキュリティの体制がなければ、リリースのたびにリスクが積み上がります。

脆弱性を狙った攻撃の増加

Webアプリケーションの脆弱性を悪用した攻撃は依然として多く、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)のような古くから知られる手法も、今なお悪用されています。加えて、認証・認可の不備を突いた攻撃や、OSSライブラリを狙ったサプライチェーン攻撃など、攻撃の入り口は多様化しています。

顧客・パートナーからのセキュリティ要求の高まり

エンタープライズ向けのSaaS企業では、顧客からセキュリティ体制の説明を求められる機会が増えています。SOC2やISMSといった認証取得の要件としても、プロダクトセキュリティの体制整備が問われるようになっています。

プロダクトセキュリティ体制がない場合のリスク

プロダクトセキュリティに取り組んでいない場合、以下のようなリスクが顕在化する可能性があります。

脆弱性の放置による情報漏えい

プロダクトに存在する脆弱性が発見・修正されないまま放置されると、攻撃者に悪用され、顧客データの漏えいにつながるおそれがあります。特にSaaSサービスでは、1つの脆弱性が多数の顧客に影響を及ぼす可能性があり、被害の規模が大きくなりやすい傾向にあります。

インシデント対応の遅れと被害拡大

セキュリティインシデントが発生した際、プロダクトの構造やリスクを理解した担当者がいなければ、原因の特定や影響範囲の調査に時間がかかります。初動の遅れは被害の拡大に直結し、復旧までの時間とコストが大幅に増加します。

顧客からの信頼喪失と商機の損失

セキュリティインシデントは既存顧客からの信頼を損なうだけでなく、新規の商談にも影響を与えます。エンタープライズ顧客との取引では、セキュリティ体制に関するヒアリングや第三者評価が求められることも多く、体制が整っていないことが失注の原因になることもあります。

手戻りの発生

セキュリティの問題がリリース直前やリリース後に発覚すると、緊急の手戻りが発生し、開発チーム全体のスケジュールに影響を及ぼします。プロダクトセキュリティを開発プロセスの早い段階に組み込んでおくことで、こうした手戻りを減らし、結果として開発スピードを維持しやすくなります。

社内に専任者がいない場合の対応パターン

プロダクトセキュリティの重要性を理解していても、専任のセキュリティエンジニアをすぐに採用できるとは限りません。社内の状況に応じて、いくつかの対応パターンが考えられます。

パターン1:開発者が兼務する

セキュリティに関心のある開発者が、通常の開発業務と並行してセキュリティレビューや脆弱性対応を担うケースです。小規模なチームでは現実的な選択肢ですが、専門性の深さやリソースの確保に限界があるため、対象範囲を絞って優先度の高いリスクから対応することが重要です。

パターン2:外部の専門家に委託する

脆弱性診断やセキュリティレビューを外部のセキュリティ企業に委託するパターンです。社内にノウハウがない段階でも、専門的な知見を活用してプロダクトのリスクを把握できます。定期的な診断の実施に加え、開発プロセスへの改善提案まで含めた支援を受けることで、段階的に体制を整えることが可能です。

パターン3:外部支援から段階的に内製化する

最初は外部の専門家に依頼し、並行して社内にノウハウを蓄積しながら、徐々に内製の体制へ移行するアプローチです。外部支援を受けている間に、セキュリティガイドラインの整備や開発者向けの教育を進めることで、最終的に自走できる体制を目指します。多くの企業にとって、現実的かつ持続可能な進め方です。

プロダクトセキュリティの実践:何から始めるか

「プロダクトセキュリティを強化したい」と思っても、何から着手すべきか迷うケースは少なくありません。以下のステップが一般的な出発点となります。

1. 現状の把握

自社プロダクトにどのようなリスクがあるかを把握するため、まずは脆弱性診断や既存の開発フローの確認を通じて現状を整理します。

2. 開発プロセスへのセキュリティ組み込み

脆弱性診断で洗い出した課題への対応と並行して、同じ問題を繰り返さない仕組みを作ります。CI/CDへのSASTツールの統合や、設計フェーズでのセキュリティレビューの習慣化がここに含まれます。

3. 継続的な運用体制の構築

プロダクトセキュリティは一度やれば終わりではありません。新機能のリリース、依存ライブラリの更新、新たに発見された脆弱性への対応など、継続的に取り組む体制が必要です。

まとめ

プロダクトセキュリティは、プロダクトを外部に提供するすべての企業にとって不可欠な取り組みです。社内を守るコーポレートITセキュリティとは対象範囲が異なり、開発組織と連携しながらプロダクトの安全性を継続的に高めていく点が特徴です。

専任のプロダクトセキュリティエンジニアを置くことが難しい段階でも、外部の専門家を活用しながら体制を段階的に整えていくアプローチは有効です。

ステラセキュリティのサービス

まず現状のリスクを把握したい場合は脆弱性診断、継続的な運用体制まで整えたい場合はセキュリティチーム代行サービスをご活用いただけます。

脆弱性診断サービス

プロダクトセキュリティの第一歩として、現状のリスクを把握するための脆弱性診断を提供しています。Webアプリケーション診断、スマホアプリ診断、プラットフォーム診断など、プロダクトの特性に合わせた診断メニューをご用意しています。

セキュリティチーム代行サービス

ステラセキュリティのセキュリティチーム代行サービスでは、プロダクトセキュリティの体制づくりを幅広く支援しています。脆弱性診断の結果対応、DevSecOpsの導入支援、設計フェーズからのセキュリティレビューなど、開発スピードを維持しながらセキュリティ体制を整えたいSaaS企業様に適した支援内容です。

「何をすべきか整理したい」という段階からご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。